みかん畑にやってくる動物たち ~獣害のお話~
甘くておいしい温州みかん。こたつの上に置いてあるみかんをついつい食べ過ぎてしまった!という経験がある方も多いのではないでしょうか。
そんな魅力あふれる温州みかんですが、ついつい食べ過ぎてしまうのは人間だけではないようです。
イノシシやヒヨドリ、狸、猿たちも温州みかんが大好きで畑に食べにやってきます。
今回はみかんが大好きで、ちょっと迷惑な動物たちによる「獣害」ついてご紹介したいと思います。
イノシシ
獣害で一番被害が大きいのがイノシシです。言わずと知れた干支のラスボスです。
イノシシの特徴は何といってもその高い身体能力にあります。大人のイノシシは体重が70kg以上になるのですが、その大きな体でも時速45kg以上で走ることができます。また跳躍力も凄く、助走なしで1mの柵を飛び越えることができます。まさに「獣の呼吸 爆裂猛進」といったところでしょうか。
イノシシが侵入した畑では、果実や肥料が食べられる被害がでるだけではなく、イノシシが園内を走り周ることで、石垣などの設備が壊される被害がでます。とっても迷惑です(泣)。
ちなみに、イノシシにも味の好き嫌いがあるようで、レモンや八朔といった酸味や苦みの強い柑橘はあまり食べないようです。
イノシシの対策として、伊藤農園では畑の境目に柵を設置しています。
柵の設置以外にもイノシシ対策として、音や臭いで警戒させて近づかないようにする方法もあります。
イノシシは警戒心が強く、大きな音や異臭がする場所には近づかない習性があり、この習性を利用します。
イノシシの嫌う臭いは、イノシシの天敵の糞尿や、ハーブ、人の髪の毛の臭いで、これらを畑の周りに置いておくことで、イノシシが近づかないようにします。
また、イノシシが畑に入りにくい環境づくりも大切です。畑の真横に森がある場合は、たとえ柵を張り巡らしていたとしても、イノシシが入りやすい環境になってしまっています。このような場合は、柵と森との間に何もない領域(緩衝地帯)を作ることで、イノシシが隠れる場所がなくなり、入られにくくなります。
鳥
みかんを狙う動物は空にもいます。ヒヨドリやメジロといった鳥たちです。
鳥は空から熟した実を探して、美味しそうな果実を食べに来ます。なかなかグルメな奴です。
春に収穫する柑橘は作地面積が少なく、鳥に狙われる確率が高くなります。そのためカラマンダリンなどの春柑橘には袋をかけて果実が空から見えないようにします。
袋掛け以外にも、畑全体をネットで囲う方法や、高いところにヒモやワイヤーを張り、鳥に警戒させて近づかないようにする方法もあります。
また、凧型の鳥よけの設置も有効です。
狸、猿
狸や猿も畑に侵入し、みかんを食べます。狸は体が小さく、柵の隙間から入ることができます。
猿はとても起用で、柵をよじ登って畑に侵入してきます。
なかなか対策するのが難しいですが、有針鉄線の設置や音で脅かす装置などで対策をしています。
鹿
鹿もみかんを狙ってやってきます。
鹿は他の動物たちとは違い、果実を食べるのではなく、みかんの木の新芽や樹皮を食べます。鹿に食べられた木は弱ってしまいます。
また、植えたばかりの苗木を食べることもあります。
鹿は跳躍力が凄く、助走なしで1.5m飛ぶことができます。
鹿の被害がある畑では、柵の上に網を設置して、柵を跳び越すことができないようにしています。
動物による被害は年々大きくなってきています。
これからも獣害の対策を行いつつ、人と動物の棲み分けができるように工夫していきたいと思います。