和歌山県有田市のみかん畑事情
果樹王国和歌山(JAさんがPR用で打ち立てたキャッチコピーらしいです。)
全国で一番農作物における果樹比率が高い県です。
その主力が温州ミカン、梅、柿ですね。
温州ミカンは国内生産量一位、中晩柑は二位(八朔、バレンシアオレンジ、セミノールは国内一位)柿も一位。
梅に至ってはぶっちぎりの一位。
いちじくは国内第2位、キウイは国内第3位、桃は国内第4位(西日本では岡山を上回り1位)、
びわは国内第6位となっており、他にゆず、ブドウ、いちご、スイカの産地もあり、
りんごや洋梨まで作られている地域があったりすることからトロピカルフルーツ以外は獲れる県と言われているぐらい果樹栽培が盛んです。
そこまで果樹栽培が盛んな和歌山ですが海岸に平野部がほとんどなくリアス式海岸が数多く存在し、
険しい山が多い土地です。(八割が 山 です)
そんな山ばかりの和歌山県有田地方はどんな畑でみかんを栽培しているのか紹介していきます。
有田地方の約70%ほどは山の傾斜地で栽培されています。
その傾斜地は斜めの地面に直接みかんを植えるのではなく石垣を積んで階段状にしています。
ほとんどが開墾時にその土地にあった石を使っています。
石垣を積むことにより、植栽面(作業面)を平らにして安全を確保し作業効率を良くすることのほか、
石垣は日光を反射させたり、太陽熱を保温したり、排水性をさらに良くして、雨水による崩壊を防ぐ効果もあります。
先ほど軽く説明しましたが詳しくはこうです。
一つ目が、畑の土の流動を防ぐこと。
段々畑でない場合、雨が降った際、土が流されてしまいます。石垣でそれを防ぐことができます。
二つ目が、水はけがよくなること。
みかんにとっては水はけが重要で水はけが悪い畑は水っぽいみかんができがちです。
降った雨がいったん土に染み込み、石垣の隙間から水分を外に排出してくれることで適度な水分を保ってくれます。
これにより高糖度のみかんができます。
三つ目が、地温の上昇、保温。
石垣に日光があたりそれが反射して地面に当たり地温が上がります。
これによってみかんのきの根っこが元気に動てくれます。
根っこが動いてくれることによって肥料の効きもよくなります。
初めに最下段に 根石 を置きますが少し地面に埋まるようにあらかじめ石垣を積むラインに溝を掘っておきます。
根石がむき出しになると雨などで降った際、根石から崩れることがあるためです。
次に根石を置いていくのですがここでラインをずれておいてしまうと完成した時の石垣がずれてしまいます。
一段、おき終われば次に置いた石の後ろに土や小石を入れて踏み占めていきます。
これを二段三段と繰り返していきます。
ただ、積み上げの角度を3~10度程傾けて積んでいかないと崩れやすい石垣になっていしまいます。
そして最上段はできるだけ大きい石を置き(小さいとぽろぽろ崩れてしまいます)土を均して完成です。
ですが、時には石垣が崩れてしまうことも。
崩れている石垣の石がむき出しになるように土を取り除きます。
あとは先ほど紹介したように・・・
生産部で20aほどの石垣の段々畑を一から作りましたが本当に大変でした・・・。
まず石の調達からで、この時は土建屋さんにいらないコンクリート片をいただきました。
その石をモノラックで畑の中に搬入。
今でこそ機械がありますが昔は手運びだったのでしょう・・・。
先人の方々はすごいですね。
石垣の積み方も十人十色でいろんな積み方が存在します。この積み方もいちおう伊藤農園流です。
参考になれば幸いです。