どうしてみかんには種がないの?
スーパーマーケットの果物売り場を見てみると、種無しブドウや種無しスイカなど種のないフルーツが売られています。これらの種無しフルーツは種を気にせず食べられるので、食べやすいですよね。
ところで、温州みかんについても、種がありません。皮をむいたら、種を気にせず食べることができます。
ここでひとつ疑問が生じます。温州みかんはどうして『種無しみかん』と呼ばれないのでしょうか?
今回はその理由についてご紹介いたします。
種無しぶどうや種無しスイカの作り方
ブドウやスイカは元から種のある果物で、栽培する過程で種をなくすための工程が必要になってきます。
ブドウの場合は「ジベレリン」という植物ホルモンを花につけることによって、種無しブドウをつくることができます。一般的に植物は果実をつけるのに受粉を必要としますが、ブドウはジベレリンを花につけることによって、受粉無しで果実をつけることができます。受粉しないので種がつくられず、種がない果実ができるようになります。
スイカの場合は、少し複雑なのですが、遺伝子に変化を加えることで種をつくらないよういしています。スイカは通常2倍体と呼ばれるもので、染色体が2本1組になっています。スイカの発芽後、特別な処理をすることによって染色体が4本1組の4倍体をつくることができます。この4倍体スイカと通常のスイカをかけ合わせることで、染色体が3本一組の3倍体スイカができ、このスイカは種ができなくなくなります。種無しスイカはこの3倍体のスイカということになります。
少し説明が長くなってしまいましたが、ブドウやスイカは種をなくすのに手間がかかるんですね。
温州みかんは元から種がない!?
種無しのぶどうとスイカのつくり方をご紹介しましたが、次は温州みかんについてお話ししたいと思います。みかんが『種無しみかん』と呼ばれない理由は、実はとても単純で、元々から種ができない植物だからです。
温州みかんは特別な4つの特徴をもっているため、種のない果実をつくることができます。
1、単為結果性(受粉なしで果実をつくることができる性質)である。
2 花粉の量が少ない。
3 花粉の受粉能力が低い。
4 めしべが発達していないので受粉しても種を作りにくい。
様々な偶然が重なって、みかんは種ができないようになっているんですね!
ちなみに、八朔や伊予柑など種のあるかんきつは上記のような特徴を持っていないため、種があります。
今後は種無し柑橘が増える?
近年、新たな柑橘の品種がどんどん登場してきています。また、最近になって品種改良の技術がさらに上がり、種無しの柑橘を作りやすくなったそうです。近い将来、より甘くて、香りのよい種無しの柑橘が増えるかもしれませんね。